2.5 サプリメントの知識

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40.ビタミンC(アスコルビン酸)

 水溶性のビタミンビタミンCは、ビタミンの中でも飛び抜けて不安定で、酸化されやすいビタミンです。逆にいうと抗酸化作用が強く有害な活性酸素を除去するスカベンジャーだと言うことです。
 大抵の動物はこのビタミンCを肝臓で合成できますが、人やサル、モルモット、フルーツバットなどは合成できません。ビタミンCの合成能力に必要な4つの酵素の内、最後の一つが欠けていて合成能力を進化の過程で失ってしまったためと言われています。このため、米国の栄養療法医ジョナサンライト博士のよれば、生物としての人類は「低アスコルビン酸症」という病を抱えていることになります。
 たいていの動物は体に薬品ウイルスが入ったり、生化学的ストレスが発生すると猛烈な勢いでビタミンCを合成して体を守ります。
 「The Healing Factor」著者のアーウィス・ストーン医学博士は、ビタミンCの予防効果は広範囲にあると述べています。それは、がん、ウイルス性疾患(小児麻痺、肝炎、ヘルペス、脳炎)、病原バクテリア(破傷風菌、ブドウ球菌、百日咳)、アレルギー、毒性のある化学物質、有害な重金属、極端な熱さや寒さ、肉体的なストレスや怪我などです。
 ですから人がビタミンCを食品から確保することが如何に重要かわかると思います。
 ビタミンCは、人体では脳、目、副腎に高濃度で存在します。逆に言うと脳、目、副腎には大量のビタミンCが常に必要です。副腎は様々なホルモンを生産しアレルギーを抑えたりストレスに耐えたりする上で重要です。

 以下でもう少しビタミンCの働きをまとめてみましょう。
 ビタミンCといえば「美肌のビタミン」として有名ですが、それはビタミンCの働きのごくごく一部に過ぎません。ビタミンCはもっと根本的に重要な働きを数多くこなす、スーパービタミンなのです。
 まず第一に、コラーゲンの合成になくてはならない存在です。コラーゲンはタンパク質の一種で、細胞同士をつなぐ働きをしています。皮膚や関節コラーゲンが必要なことは、皆さんもよくご存じでしょうが、それだけではなく、筋肉や骨格など、人間の体そのものがコラーゲンなしではつくれないのです。
 第二に、抗酸化物質としての働きです。ビタミンCは強力な抗酸化作用動脈硬化を防いだり、ガンの発生を抑えたり、シミやしわができにくくし、体の老化を遅らせてくれます。
 ビタミンCは水溶性のビタミンですが他の抗酸化ビタミンで脂溶性のビタミンAビタミンEを蘇らせる働き、すなわち酸化したビタミンを還元して元の状態に戻す能力があり体を保護する抗酸化ネットワークの要でもあります。
 第三に、白血球のマクロファージを活性化したりインターフェロンの産生を促したりして免疫力を高める働きが注目されています。更にはアレルギー反応を抑えるのに大きな力があることがわかってきています。
 第四に、重金属や化学物質の解毒にもなくてはならないビタミンです。添加物の入った食品を毎日食べている現代人にいかに重要かお分かりでしょう。

このほかにもウイルスを不活性化する、無機鉄の腸での吸収率を上げる、血中脂質の酸化抑制による動脈硬化の予防と改善効果、コレステロールの代謝促進、内分泌系と神経系の反応に関与しストレス抑制効果が高いなど高単位のビタミンCは、非常に幅広い薬理効果が認められます。

〔1日の所要量(RDA)〕
成人は60mg(妊娠中、授乳期は70―95mg)

〔作用〕
 強い抗酸化作用で活性酸素を除去し動脈硬化や細胞のガン化を防ぎます。鉄の吸収を助けます。副腎ホルモンの合成に使われ、ストレスが多いときは多量に消費されます。そのためビタミンCが不足すると、胃が痛むなど、心因性の諸症状が表れることがあります。重金属や化学物質など汚染物質の解毒にも必要です。
 そのほか、免疫力を高め、アレルギーの症状を抑えたり、コレステロールを下げ、白内障を予防し、その悪化を防ぎ、歯肉や関節、皮膚を守り、けがの傷の治りを早くするなど、大活躍のビタミンです。
 不足すると、疲労、歯茎からの出血、歯槽膿漏、筋肉の衰えなどを起こします。

〔危険性〕
 1日に750mg以上多量に摂ると、シュウ酸結石や尿酸結石の原因になることがあるという医師もいますが、多くの栄養療法医はこの可能性は低いといいます。この点が不安な場合はビタミンB6とマグネシウムを同時に摂ることで十分防げるといいます。1日に1000mg以上摂ると、下痢、頻尿、発疹などの副作用が現れることがあります。(これを耐性値とよび個々人でその量はある程度決まっています。タイムリリース錠にするとゆっくりと解けていくのでこの耐性値はずっと高くなります。栄養療法医の中には、この耐性値ぎりぎりまでビタミンCを摂取することを勧めるケースが増えています。)
 
〔豊富に含む食品〕
 新鮮な野菜や果物。レモン、みかんなど。

〔ポイント〕
 ビタミンCは、2〜3時間で排泄されるので、血液中のビタミンCの濃度を一定に保つにはタイムリリースの錠剤で摂るか、朝昼晩の3回に分けて食後摂るのが賢い方法です。
 また脂溶性のビタミンCも開発されていて、パルミチン酸とビタミンCをエステル結合させアスコルビン酸パルミテートがそれで最高24時間体内にとどまり肌に特に効果的だといわれます。
 ビタミンCが効率よく体内で働くにはヘスペリジン、ルチンなどのバイオフラボノイド(ビタミンP)が重要です。ケルセチン、ローズヒップアセロラシトラスなどのバイオフラボノイドとともに摂るビタミンCの吸収率と活用の効果が高くなると考えられていますので併用することが勧められます。(最近のビタミンCには大抵ローズヒップが混ぜられていますが、量的に十分かは疑問があります)。またビタミンCを大量にとると葉酸とビタミンB12の流出が多くなるので補給する必要があります。

 朝鮮人参とは相性が悪く2から3時間の時間を空けてとることが勧められています。

 たばこを吸うと、1本で25mgから100mgものビタミンCが破壊されるため、愛煙家はビタミンCを多く摂る必要があります。全米研究審議会の食品栄養委員会は、喫煙者はビタミンCを1日100mg摂るように勧めています。本人が吸わなくても、受動喫煙でもビタミンCは消費されるので、要注意です。またストレスやアルコールもビタミンCを多量に消費するもとになります。ビタミンCは、現代人の生活に欠かすことのできないビタミンだといえます。また飲酒でも流出します。

 アスピリンを飲んでいる方は、ビタミンCの排泄量が増えるので多くとることが勧められます。
 妊娠中や授乳期にも多めの摂取がすすめられています。幼児の死亡、幼児の突然死症候群(SIDS)の予防のためにも摂取がすすめられています。

 ジョナサンライト博士によると、米国の9000人を対象に9年間行った臨床テストから次のように多量のビタミンCが必要になると報告されています。
「通常、健康な人が1日24時間に下痢をせずに摂取できるビタミンCは4,000-16,000mgですが
アレルギー患者になると 1日あたり 15,000- 25,000mg,
軽い風邪なら        1日あたり 30,000- 60,000mg、
重い風邪なら        1日あたり 60,000-100,000mg、
火傷、怪我、手術後は  1日あたり 25,000-150,000mg、
単核症患者         1日あたり150,000-200,000mg、
バクテリア感染       1日あたり100,000-200,000mg
に上昇する」
と言います。
 またガンに対してもバクテリア感染と同レベルのビタミンCが必要になるといわれます。

 血液検査の前にビタミンCを大量摂取すると、検査の結果が狂うことがあります。また、糖尿病の人が大量のビタミンCを摂っていると、尿検査をしても糖の値が正確に出ないことがあります。どちらの場合も、ビタミンCを摂っていることを前もって医師に伝えておきましょう。


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